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レイ・ニホ・パラオアは鯨の歯を彫刻したペンダントです。ハワイでは、権力のある家とその家系や血統が重要とされ、このペンダントもまた酋長の地位を示す重要なシンボルだったのです。

この彫刻は、人が舌を出した形を表しています。これは酋長の言葉にやどる権威と支配の力を表現したといえるでしょう。ペンダントの紐に当たる部分は、人の髪の毛を細かく編み込んだものです。髪には、神聖な力・マナが宿るとされ、レイ・ニホ・パラオアを身につけた酋長は、先祖と神々のマナを持ちあわせているとされます。

時代の流れととともに、レイ・ニホ・パラオアは、ペンダントそのものを示す言葉となりました。ハワイアンの中でも位の高い人物は、骨や珊瑚でつくったレイ・ニホ・パラオアを用いました。そして最も位の高い酋長・アリイだけが身につけることが許されたのは、マッコウクジラの骨から作ったレイ・ニホ・パラオアだったのです。

クジラが海岸に打ち上げられると、めでたいこととされ、アリイのものとなりました。またその海岸は聖なる場所とされ、しばしばアリイたちの争いの種となったのです。なぜならクジラのもつ〝マナ〟=聖なる力が、争いの勝者に有利に働くと考えられていたからです。

ビショップミュージアムには50以上のレイ・ニホ・パラオアがあり、 時代によって大きさや形などさまざまですが、中にはハワイの王族たちが実際に身につけたものもあります。