ハワイの神々と精霊は、多くの場合、目に見える立体的な形として表現されてきました。神々の果たす役割や趣旨によって、非常に細かい彫刻が施されるものもあれば、細部にはこだわないものもあります。
たとえば、今、ご覧頂いているこのカネイコカラは、人の顔のようにもみえますが、人工的に彫られたのではなく、自然のままの状態で神を表わすものとされています。
ハワイアンホールにさまざまな石像や木像が展示されていますが、中には、種類の違う植物で編み上げた像をカラフルな鳥の羽で覆った珍しいものもあります。使われた羽は希少性の高い鳥のものもあり、そうした貴重なものは、王族が神々を奉る際に使用したのです。 あるものは持ち運べるほど小さく、あるものは非常に大きく、永久にその場に置かれるよう、目的別に作られました。
このように、具現化されたハワイの神々は多くありますが、形そのものが、霊的な力を現しているとは限りません。 と言うのも、ハワイの神官・カフナは、特別な儀式や語り（チャント）をすることで、精霊を物体の中に宿したり、抜き取ったりしていたのです。
ハワイアンホールの復元工事の際、このカネイコカラを移動させようとしました。ところが、どうやっても動かせず、この場所に置かれたまま、工事は進められたのでした。
カネイコカラは、１９０６年にビショップ・ミュージアムに運ばれてきましたが、以来、一度もこの場所から、動いてはいないのです。