瓢箪はポリネシア一帯で食器や水を貯める器として使用されていました。しかし、ハワイで発見された瓢箪は、形、機能、デザインから特別なものと言えるでしょう。
〝フエ・アワ・アワ〟と呼ばれる苦い瓢箪は、ハワイで広く栽培されていていました。このひょうたんの底を平らにするため、ゴザの上に置いたり、上から吊り下げて首の部分を長くするなど、形作りの工程には多くの工夫がなされました。 また、いびつな形をした瓢箪は、楽器や釣りの道具入れに使われました。 ニイハウ島で作られた、 〝イプ・パヴェ〟という見事な幾何学模様の入った瓢箪もあります。
ところで、世界中では陶磁器が 〝器〟として使われてきました。
今から四千年前、ポリネシアの西側にある島々に初めて定住したラピタの人々も、陶芸の技術を持っていました。しかし、ラピタの子孫であるポリネシア人がハワイの島々に住み始める頃には陶芸の技術はすたれ、陶磁器も使われなくなっていきました。 ポリネシア人たちが見つけた島々に粘土がなかったことが、瓢箪の栽培へとつながったとする研究者もいます。
ところが、粘土のないフィジーやトンガ、サモアなどで、長期にわたり、陶器が作られ続けた記録もあります。
ラピタからポリネシアへと社会文化が徐々に発展していく中で、食べ物、生活、宗教にも変化がみられ、器の素材も、それに伴いゆるやかに変遷していったのです。