〝アフウラ〟とは、ハワイの鳥の羽根で作られたケープ・またはマントのことで、位の高い酋長だけが身に付けることが許された装飾品です。鮮やかな赤い色
が特徴のイイヴィや黄色のオーオー、マモといった高い場所を飛ぶ小さな鳥たちは、ハワイの階級社会では、しばしば地位の高さを示すものとされました。 一方、低い場所を飛ぶ鳥や海鳥など、ごく普通に見られる鳥は、地位の低い階級のものとされました。
ご覧頂いているこのアフウラは、 低い場所を飛ぶ鳥の羽根を使ったケープの典型的な一例です。 主に茶色と黒の光沢のあるニワトリの羽根が使われており、首のラインに貴重な赤や黄色の羽根が使われています。あまり優雅な素材とはいえませんが、このアフウラは、ビショップ・ミュージアムのコレクションの中で、おそらく最も古い羽根のケープではないかとみられています。 このケープは1778年から79年の間にキャプテンクックがハワイからイギリスへ持ち帰ったもので、ビショップ・ミュージアムでは通称〝クック・ケープ〟と呼ばれています。
ビショップ・ミュージアムはこのケープを1977年、イギリスの 〝ジェームス・T・フーパー コレクション〟から購入しました。 フーパー氏は太平洋の民俗文化に関する収集家でしたが、1971年、死去。 その後すぐに、彼の膨大なコレクションはロンドンにあるオークションハウス・クリスティーズで競売(きょうばい)にかけられました。