パアキイとは、肉料理などを盛り付ける〝大皿〟のことで、土地の支配をめぐって酋長たちが争いあった、ハワイ王国建国前の時代を象徴するものです。
この大皿は、オワフ、モロカイ双方の王を倒したマウイ島の王様の物語をあらわしたものです。
1780年頃、マウイ島の王だったカへキリはカハハナ王を倒し、オワフ・モロカイを手に入れ、3つの島を治める王となりました。この大皿の彫刻部分は敗北した王カハハナとその妻・ケクアポイウラオカラニを表していると言われます。開かれた口は、塩などの香辛料を入れるためのものです。 勝者であるカヘキリの食べ物を、敗者の王と王妃が器となって支えるというなんとも皮肉なこのデザインは、まさに、王の凋落を象徴しているといえるでしょう。
カヘキリの勝利から10年後、この大皿は、マウイ、オアフ、モロカイを制覇したハワイ島の酋長・カメハメハの戦利品となるのです。
このように、敗者をさげすみ、勝者を讃えるために、大皿のようなある種、実用的なものが用いられることは、ハワイでは珍しいことではなく、ハワイアンホールにある〝敗北者の奥歯をはめ込んだ壺〟も、その一例なのです。
カメハメハの子孫である王女、ルース ケエニコラニを通してミュージアムに寄贈されました。